「再生数やいいね数に振り回されない」成果を生むインフルエンサーマーケティングとは?

近年インフルエンサーマーケティングの需要は年々増加し、2018年には219億円だった市場規模が、2028年には933億円に達すると予測している調査もあるほどです。成長著しいインフルエンサーマーケティング市場ですが同時に、上手く機能していない施策も散見されるようになりました。そこで今回は、インフルエンサーマーケティング、特にYouTuberとのタイアップ動画において、良い成果を生んでいる施策の共通点をご紹介します。

良い施策とは?

そもそも、YouTuberとのタイアップ動画における【良い施策】とは一体どういったものでしょうか?

YouTubeには再生数やいいね数など様々な指標がありますが、本当に良い施策というのは視聴者がYouTuberの投稿をきっかけに、実際に商品を購入したり、自分で検索したりなど消費者の行動に影響を与えています。
しかし再生数やいいね数は望ましい結果になったものの、消費者を行動に移せていない施策が数多く存在するのが現状です。

また良い成果を生んだ施策の特徴として、YouTube上のコメント欄で、商材を起点に視聴者とYouTuberもしくは視聴者同士でのコミュニケーションが発生しています。

「○○ちゃんのこの動画を見て購入しました!」といった購入報告はもちろん、「Amazonで品切れだったんですが、他にどこで買えますか?」「身長150cmだと、Mサイズは大きいですか?」など、商品を紹介したYouTuberですらそこまで知らない・答えられない、問い合わせのようなコメントまで数多く寄せられています。そしてそういった質問に、YouTuber自身だけでなく、別の視聴者が回答する様子もよく見られる光景です。

これは視聴者・ファンにとってインフルエンサーの存在はある種、ブランドよりも身近で、信頼のおける存在であることの表れです。そのため、視聴者が商材にしっかりと関心を寄せ、その行動に影響を与えている良い施策では、このようなコミュニケーションが自然にコメント欄などで発生しているのです。

良い成果を生む施策の共通点

では実際に良い成果を生んだ施策の共通点は一体なんでしょう。
要因はもちろん1つには集約できず様々ですが、その1つに【動画の主語が誰になっているか】という注目すべきポイントがあります。

そもそもインフルエンサーは単なる商品の【露出場所】【メディア】ではなく、【人】です。その商品がいかに優れているかをブランド目線で主張する広告に対し、消費者代表として、率直な感想を言ってくれる部分に視聴者・ファンは信頼を置いています。

にも関わらず、「この商品は、ここがすごい」「この商品の機能は、これです」のように商品を主語にしてPRしている投稿は、発信者がたとえインフルエンサーであっても良い成果を生みません。むしろ視聴者から、「企業に”言わされている”」と嫌悪感を抱かれることも少なくないのです。

対照的に、インフルエンサー自身を主語にし、「私はこの商品をこう使います」「私はここがいいと思った」とPRしている投稿は良い成果を生む傾向にあります。視聴者・ファンは、インフルエンサーの価値観、生き方、人柄、世界観に共感を示し信頼をしているので、インフルエンサーがその商品をどう使っているのか、どう楽しんでいるのか、なぜ使っているのかなどを伝え届けることで、同じ消費者として説得されるのです。

実際に意識すべきことは?

ここまで見てきたように、効果的なインフルエンサーマーケティングを行うに当たって、インフルエンサーをひとりの【人】として見ることが重要です。
「この企画ならバズる」「この人を起用すれば再生数が伸びる」など、そんな単純なものではないことはもはや明白でしょう。さらに、再生数やいいね数でさえ、結果の一側面でしかありません。

自社の商材の使い方・楽しみ方を伝えるのに適しているインフルエンサーは誰なのか、インフルエンサーの個性・魅力は潰していないか、そのインフルエンサーが発信することで商材は魅力的に映っているか、などを考える必要があるのです。
商材を誰よりも知る我々ブランド担当者、消費者代表として商材を発信するインフルエンサーそれぞれの立場・特性を理解することがインフルエンサーマーケティング成功への第一歩と言えるでしょう。