SNS時代のアンバサダーマーケティングとは?

自社のアンバサダーに商品・サービスのサンプル提供を行い、そこから情報を拡散させようとする手法があります。一般にアンバサダーマーケティングと称されます。

アンバサダーとは?

アンバサダーの原義は、「大使」です。
「アンバサダーマーケティング」という文脈では、「アンバサダー」とは自社の熱心なファンのことを指しています。
無償で積極的に情報を拡散したり、商品・サービスを他者に勧めたりしてくれるような存在です。
アンバサダーマーケティングは、自社の会員組織を持つような企業(例えば化粧品会社のような)が古くから取り組んでいます。

アンバサダーマーケティングの事例

アンバサダーマーケティングは、「アンバサダー・プログラム」という名称で実施されることが多いようです。

KOSE社

こちらはKOSE社が行っているアンバサダープログラムのイベント。
新商品のお披露目・体験会に参加してもらう、といった趣旨です。
http://shop.maihada.jp/ambassador/report/201610/
また最近では、デジタルデバイスの領域で活発になっているようです。
名だたるハイテク家電・電子機器メーカーが取り組んでいます。

DELL社

DELLのPCを愛用するライフスタイルを、アンバサダーに写真などでSNSに投稿してもらうような仕組みです。
http://www.info-event.jp/dell/lp/xps/ambassador/

Microsoft社 Surface

既に終了していますが、Surfaceの愛用者をアンバサダーとして限定イベントなどに招待。
https://www.microsoft.com/ja-jp/atlife/campaign/surface-ambassador/

SHARP社

SHARPの長年のファンをアンバサダーとして認定。
https://form.ambassador.jp/get/sharp/ambassador/entry

楽天モバイル

変わったところでは、格安ケータイ・MVNOの雄、楽天モバイル。
https://mobile.rakuten.co.jp/ambassador/
その他、セブンイレブンのスイーツやマクドナルドなど、食品関係の領域でも広く展開されています。
その中でも、「ネスカフェアンバサダー」のTVCMを積極的に行っているネスレ日本社は広く知られていると思われます。

ネスレ日本

https://nestle.jp/ambassador/index.html

YouTube

ちなみに、YouTubeにもアンバサダー・プログラムがありますね。
ここではYouTubeを活性化するため、経験のあるYouTubeクリエイターに他のクリエイターを支援してもらうことが目的となっています。
https://support.google.com/youtube/answer/7070692?hl=ja

アンバサダーマーケティングはSNSと連動する時代

スターバックスのアンバサダーマーケティングはかなり大規模に行なわれています。
DJやアーティストを招いた野外フェスを行い、自社の会員を抽選で招待するというものです。
テレビ東京のWBSでも取り上げられていました。
https://www.starbucks.co.jp/press_release/pr2017-2094.php
http://www.starbucks.co.jp/youkou/fes/
そこでは、新作のメニューが提供され、招かれた人は一般の消費者よりも先にそれを味わうことができるというわけです。
対象者は皆元々スターバックスの会員なので、参加できた人の優越感はひとしおと言ったところでしょう。
依頼されずともSNSに投稿したくなります。
試しに #domesurprise でInstagramを検索すると、およそ290件の投稿が上がっています。
#starbuckssummerfestival2017 だとおよそ200件。
2,000組、4,000名規模のイベントということを考慮すると、やや少ない印象も受けますが、いいね数などから見るに相当の波及効果がありそうです。
(ちなみに、#アメリカンチェリーパイフラペチーノ だと76,000件超の投稿がされていますが、これはイベント招待者以外の投稿が多そうです。)

アンバサダーマーケティングの渦の中、独自路線で顧客ロイヤリティを図る

こういった状況の中、孤高の存在に見えるのが任天堂。

ニンテンドー3DSアンバサダー・プログラム

https://www.nintendo.co.jp/3ds/ambassador/index.html
任天堂は「いちばん最初にニンテンドー3DSを応援してくださったみなさま」を任天堂のアンバサダーだとして、3DSが価格改定(値下げ)される前の購入者に特典としてゲームをプレゼントする企画を行っています。
最近のアンバサダー・プログラムがアンバサダーによる「SNSでの拡散」を前提としている(あるいは、参加者に義務付けている)、または特典の提供を前提としてアンバサダーを任命している、のに対して一風変わった姿勢に映ります。
「新しいゲームハードが発売される。出始めは高い。
これが普及時期に入ると、どこかで値下げがされる。それは過去の経験から分かっている。しかし、ゲームが好きで新しいゲーム機を触ってみたいからどうしても欲しい。」
そんな本当の意味での自社の「アンバサダー」を大切にしたいという一つのメッセージとなっています。
(これは、まだ見ぬ新しい才能を発掘するために、熱心に映画館や劇場に通ったり、アイドルイベントに通ったりする人々にも共通の心理かもしれません)
ともすれば、単なるソーシャルマーケティングに陥る危険性もあるアンバサダーマーケティングにおいて、任天堂は一つ参考になる事例と言えるでしょう。