Twitter 10周年動画にみる、Twitterインフルエンサーの姿

Twitterは今年でちょうど10周年だそうです。
公開された10週年記念動画からは、Twitterを通してみる日本のこの10年の姿、そしてTwitterならではの情報伝達の有り様が見て取れます。

Twitter10周年動画にみるTwitterの特性

Twitter社が公開している10周年記念動画は、Twitterユーザーならずとも感慨深い内容です。
Twitterの10年(日本版)
その即時性という特徴から、Twitterで話題になったことと言えば、時事ニュース・時事問題も多かったと思い返します。
特に印象深いのは自然災害に関する事でしょうか。
動画の中でも2011年の東日本大震災、2015年の台風18号(鬼怒川の堤防決壊)が取り上げられています。
東日本大震災においては、電話やメールといったインフラが機能停止する中で、Twitterでだけはコミュニケーションが取れるという状況でした。
鬼怒川の堤防決壊の際には、Twitterで発信した救難メッセージをきっかけに救助をされた人々もいらっしゃいました。

当時のYahoo!ニュース
http://news.yahoo.co.jp/story/27
「NHK生活・防災」のTwitterアカウントが「目立つ物を振ってください。電話やツイートをしてください。大声で叫んで下さい。」と被災者の方に呼びかけているのが印象的です。

日本人のTwitter好きは異常?

非常時の有用性を考えると、Twitterはある種の公的な社会インフラにも似た性格を帯びているように思えてきます。
先日のTwitterの決算が芳しくないのは話題になりましたが、日本ではサービス利用が好調(おそらくビジネス的にも)です。

「天空の城ラピュタ」が放送される際におこる「バルスツイート」に象徴されるように、「日本人のTwitter好きは異常」、というのはよく話題に上るところです。

Twitterのインフルエンサー

Twitterにもインフルエンサーがいます。
テレビタレントにスポーツ選手、著名実業家の方々がすぐに思い浮かびます。
加えて、あまり他のメディアに露出しないけれども、インターネット上で多数のフォロワーを抱えるという人々もいます。
Twitterでのインフルエンス現象の妙は「拡散」にあります。
情報を最初に発信した個人が例えインフルエンサーでなくても、インフルエンサーにツイートが届くことで、一気に情報が広まる現象です。

「おじいちゃんのノート」現象にみる、Twitterのインフルエンサー

フジテレビのMr.サンデーでも特集をしていたので、ご存じの方も多いと思います。
「おじいちゃんのノート」注文殺到 孫のツイッター、奇跡生んだ偶然
「うちのおじいちゃんのノート、費用がないから宣伝できないみたい。Twitterの力を借りる」
おじいちゃんが特許を取得したノートがなかなか売れていないことを知った専門学校生の孫娘がTwitterでつぶやいたところ、大反響となり欠品するほどの人気商品となった、という話です。

Twitterのインフルエンサーは「ツウ」の人?

こちらの話題でもツイートの主は専門学校の女子生徒です。
年齢でいうと20才前後と推測されます。(実際に、Twitter社の広告媒体資料を読むと、この「20代女性」がユーザーとして最も多いことがわかります。)
報道されている情報から推測する限りは、おそらくごく一般的な女子学生のユーザーで、決してインフルエンサーではありません。
しかし、この女子学生のツイートをきっかけに、人々はノートを買いました。
マルコム・グラッドウェルは、著書『The Tipping Point(邦題:「急に売れ始めるにはワケがある ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則」)』の中で、口コミが伝播し、大勢の人が動かされていく事象において重要な働きを果たす特殊な人々を「コネクター・メイブン・セールスマン」と定義しています。
メイブン(maven)= 専門家、達人、通(ツウ)
Twitterで「おじいちゃんのノート」のような現象が起こるときには、この「メイブン」にあたる人々が介在していると考えられます。
情報伝播のパスの中で、「情報価値を正しく評価し、大勢の人に伝えることのできる人」に上手く情報が届いた時、大きな拡散現象が起こると言えるでしょう。
「おじいちゃんのノート」現象においても、「このノートは素晴らしい」と評価した無数のメイブンがインフルエンサーの役割を担ったのだと考えられます。

まとめ

人々の間で話題になることを、よく「バズる」と表現します。
インターネットで「バズ」を起こすことは、普通の一個人や一企業に取っては非常に難しいことです。
しかしもし、何らかの価値ある情報を拡散・流通させたい場合は、その情報の「メイブン」を想定してみましょう。
「あの人にツイートしてもらう、シェアしてもらうにはどうすれば良いのか?」
それを考えてみると、ひょっとすると一個人でもバズが起こせるかも知れません。