【ケーススタディ】リーチを目指すインフルエンサーマーケティングの終焉

インフルエンサーマーケティングの課題

「YouTuberとのタイアップ動画では、商材と親和性の高いインフルエンサーを起用することが大切」といった言葉をよく耳にします。

実際に多くの企業が、親和性の高いYouTuberをピックアップし、平均再生回数や起用価格などを見て最適なYouTuberを選び、タイアップ動画を公開するという流れを踏んでいるのではないでしょうか?
20代の女性向け化粧品であれば、美容系をメインに扱い視聴者層が20代がボリュームゾーンのYouTuberの中から、平均再生回数を考慮して起用し、動画を作成するといった具合です。

このような流れ・手順で行われているインフルエンサーの起用・タイアップ動画の作成は、「いかにターゲットに効率よくリーチできるか」という定量的なリーチという観点で実行されています。

しかしこのような「リーチを目指すインフルエンサーマーケティング」は終焉を迎えるべき時期に差し掛かっています。それはインフルエンサーマーケティングの価値は、【広さ】(ここでいうリーチ数)ではなく、【深さ】にあるからです。

そこで今回は、【深さ】を追求するインフルエンサーマーケティングのポイントを実際の事例を基にご紹介します。

「広さ」から「深さ」へ

リーチ数というのは、結果の一側面でしかありません。

以前、以下の記事で消費者を購買まで促すことに成功しているタイアップ動画では、コメント欄にて、「商品を購入しました!」といった購入報告から、商材への疑問点・質問などが寄せられ、商材を起点にしたコミュニケーションが多く発生しているとお伝えしました。

「再生数やいいね数に振り回されない」成果を生むインフルエンサーマーケティングとは?

2020.09.11

そして実は、同じYouTuberの過去のタイアップ動画を複数比較すると、多くのリーチを獲得した動画、つまり再生回数が多い動画と、商材へのコメントが多い動画、つまり視聴者が商材へ高い関心を示した動画は、一致しないことは珍しいことではありません。

ここでより具体的にご説明する為に、アイドルとして活躍後、現在ママタレントとして人気の辻ちゃんネルを取り上げます。
以下のグラフは企業とのタイアップ動画を抽出し、再生回数と商材コメント率の相関関係を示したものになります。

このグラフを見れば、再生回数と商材コメント率、つまりリーチ数と商材への訴求度は必ずしも相関しないことは明らかでしょう。

にもわらず多くの企業が、リーチを目指し平均再生回数や起用価格を見てYouTuberを選定しているが故に、「平均再生回数より多い再生数だったから成功した」「想定再生回数を下回ったから失敗した」などといった考え方・効果検証になっている現状が多くあります。

ここまでくれば、リーチ数を始めとする【広さ】を追求するだけでなく、視聴者に【深く】刺さるにはどうすべきか?といった観点から企画をし、実際に【深く】刺さったのか?という観点からの効果検証も重要ということが分かるでしょう。

「広く・深く」届く施策とは

では、どのように【広く・深く】届く企画を考えればいいでしょう。

その1つとしてまずは、起用したいYouTuberの過去のタイアップ動画を比較してみてください。何らかの共通点やヒントが見えてくるはずです。
では、先ほどの辻ちゃんネルを例に詳しくご説明します。

以下の2つの動画は、【広く】届いたが【深く】届かなかった動画、つまり再生回数・コメント数共にタイアップ動画の中で上位だったにも関わらず、商材に関するコメントがほとんど寄せられなかった動画です。
ファンが喜ぶ「モーニング娘。」や、家族とのふれあいコンテンツは再生回数やコメントが増える傾向にありながら、商材への注目が集まらなかったことが分かります。

このように、商材以上に動画の企画内容やYouTuber自身といったコンテンツにスポットが当たってしまい、商材へのコメントがほとんど発生しないケースは非常に多く存在しています。

一方で、商材に関するコメントが多く集まった動画は以下の2つです。
これらの共通点としては【主婦目線】で主婦が「困っている」「知りたい」情報を提供している点です。

このように過去のタイアップ動画を分析すると、何らかの共通点が見えてくるはずです。
その共通点を踏まえた企画にすることで、視聴者から「私も買ってみたい!」「真似したい!」「やってみたい!」など商材への関心を引きつけることが可能になるでしょう。

ターゲットに効率よく訴求できることがインフルエンサーマーケティングの本質的な価値ではありません。
視聴者にとって身近なインフルエンサーを起用するからには、【深く】届ける施策を実行しなければ、最大の効果を発揮しないでしょう。