Instagramのアルゴリズム変更
Instagramのアルゴリズムが近々一新され、ユーザーのエンゲージメントによってニュースフィードがソートされる仕様になるようです。
この変更に向けてどのような対策をとるか、出版社が戦略を立て直しています。
Instagramは、ユーザーの興味のあるコンテンツ・投稿者との関係・投稿のタイミングの3つの条件によってフィード上の写真が並び替えられるようになる、と発表しています。
(2016.3月変更済)
出版社はFacebookよりもInstagramと相性が良い
人々からの関心の高い出版業界にとっては、他のコンシューマーブランドに比べこの変更は好都合だといえるでしょう。
Instagramはこれまで、エンゲージメントツールとしての信頼を得てきました。
しかし今回のアルゴリズム導入によって、好都合な立場だといわれる出版業界でさえも多少の不安を感じているようです。
アイルランドに本社を構えるメディア会社Newswhip社は、FacebookよりもInstagramの方がいかにユーザーからのエンゲージメント率が高いかということを発見しました。
National GeographicやVogue、New York等の大手出版社でも、Instagramでのフォロワー数を増やすことに総力をあげて取り組んでいます。
出版社はコンテンツの全容を一度に変更するにはまだ時期尚早だと考えているものの、変更への下準備としてInstagramアカウントを多様化し、読み手がより自然に感じる広告にするにはどのようにするかという点に重視して、エンゲージメント率の変動を観察しています。
ファッション雑誌GQのマルチアカウント戦略
米国の代表的な男性向けファッション雑誌GQは、少しニッチな策を取っています。
複数のアカウントを保有しアカウントごとに違ったコンテンツを配信しています、とエグセクティブデジタルマネージャー、Mike Hoffman氏は言います。
例えば@gq.casting、@gq.guysの2つのアカウントは、日々GQオフィスを訪れるモデルをフィーチャーしたものですが、それぞれ44.400人と105.000人のフォロワーを保有しています。「Instagramにアカウントを複数持つことで、GQ読者との触れ合いの機会をより多く得られるのです」とHoffman氏は述べました。
Instagramのアルゴリズム変更はかつてのFacebookの時と同様か
多くの企業は、Instagramの親会社であるFacebookで以前行われたアルゴリズム変更の際の経験を参考にしています。
米国Vox Media社のファッションサイトRackedのソーシャルメディア編集者であるCallia Hardgrove氏は、このインスタグラムのアルゴリズム変更は、ブロガーにとっては厳しいが出版業界にとっては有り難いことであり、とりわけファッション業界にとっては有利であると考えているようです。
もし、今回のInstagramのアルゴリズム変更がFacebookの時と似ているのであれば、Rackedのエンゲージ率も高まるのでは、と予期しています。
出版社によるInstagram投稿数は増え続けている
出版社のInstagramへの投稿数は益々増加の傾向を示しています。
2015年4月から今年の2月の終わりまでの期間でいえば、2015年4月時と比べて57%も増え、今年の2月の月平均の投稿数は84回にも上ります。
米国のTrackMaven社の分析調査によって、大手出版企業48社の投稿から解ったデータです。
しかしながらFacebookがアルゴリズム変更した時の経験からいうと、Instagramの新アルゴリズムの基では、投稿は量より質がより重要となっていくでしょう。
Newswhip社の統計によると、Bleacher Report社の3月のエンゲージメント数は1,960万と高く、National Geographicに次いで第二位でした。
その理由には恐らく、投稿数の違いが影響したようです。
3月の投稿数は、National Geographic社が268であったのに対しBleacher Report社は441でした。
Bleacher Report社の社長Rory Brown氏は、これからも投稿数は減らさないが高い質を維持していきたい、と述べています。
Instagramのアルゴリズム変更
新しい仕様に生まれ変わったInstagramでは、スポンサードコンテンツは従来のようにうまくはいかないかもしれません。
スポンサードコンテンツはいまいちユーザーに響かないのです。
Instagramを利用してスポンサードコンテンツを収益化している出版社は今後、さらに高い質を求められるでしょう。
Bleacher Report社にとっては、読み手に自然な印象を与えるスポンサードコンテンツに注力すべきということになります。
広告主とうまく手を組んで人の興味を引くようなものを作ることのできる出版社のコンテンツこそが、今後より多くの人に見られることになるだろう、とBrown社長は語っています。