本日はSOCIAL MEDIA WEEK開催のイベントでのFullscreen のセッションからです。(全2回中の1回目)
Fullscreenについては、よくRIPPLYでも言及する機会があります。
アメリカの大手MCN(他には、Machinema, MakerStudio,など)の一角です。
MCN (Multi Channel Network)とは、多くのYouTubeクリエイター(YouTuber)のネットワークを持っている組織・企業の呼称です。
もっとも、MCNという呼称は、あくまでGoogle/YouTubeがそのコンテンツ供給パートナーである組織・企業を指して言っているに過ぎません。
実際のMCNの現状は、YouTuberのネットワーク化、という領域を遥かに超えていて、巨大メディア企業の様相を呈しています。
そういう背景もあり、今後の日本のインフルエンサー・マーケティング市場を予測する上でも、特にFullscreenの動向には注目していきたいところです。
ブランドは、インフルエンサー・マーケティングの成功をどう測るべきか?トラックすべき本質的な指標やデータとは?
昨今、「インフルエンサー・マーケティングは過大評価されている」、と急速に批判されはじめています。
ソーシャルメディアはカスタマー(顧客)とブランド(企業)のパワーバランスを根本的に変えました。
知人や友達からのおすすめが、人々の購入意思決定において、より大きな役割を持つようになったことが大きいです。
そしてインフルエンサー・マーケティングの投資対効果は、いまや従来のオンライン広告業界をおびやかすほどなのです。
だからこそ、成功のためには、ブランドや代理店が、最終目標を1つか最高でも2つに絞る必要があります。
これは、最も重要なはじめのステップです。(インフルエンサー・キャンペーンだけでなく、他のキャンペーンでも同様です。)
確かに大変難しいことですが、非常に大事なことです。
Fullscreen によるインフルエンサー・マーケティングの進め方とは?
まず、企業は「最重要課題」を定義すべきです。
次に、インフルエンサー・マーケティングのパートナーと協力して、リーチしたい特定のオーディエンス(ユーザー、視聴者)と、その「最重要課題」を調節していくのです。
Fullscreenでは、具体的にどのインフルエンサーをキャンペーンに参加させるかブランドと話し合う前に、次のことを明確にします。
- 最優先すべき目標とオーディエンス対象は何か?
- 上記を踏まえて、最適なインフルエンサーのコンテンツは何か?
- 高い成果が得られるプラットフォームは何か?
企業側が最もよく設定する目標としては、以下の3つがあります。
- 企業ブランドへの関心を高めること(ブランド認知)
- 顧客からの接触を促進すること(ユーザーとのエンゲージメント)
- またはクリックや購買を促すこと
しかし、何を目標にするにしても、私が企業・ブランドにすすめていることは、インフルエンサー・マーケティングのそのもっと先を見越すべきだということです。
よくあるのが、「全てのプラットフォームでのフォロワー数や購読者数を合計する、という単純な総合リーチ数を計算するにとどまる」というケースです。
Fullscreenが考えるリーチの定義とは?
もし、ブランドへの関心を高めることが最優先目標だとするならば、リーチの定義をもっと掘り下げて明確化するべきです。
- どのプラットフォームで何のキャンペーンを行なうのか?
- そのプラットフォーム内で特定のインフルエンサーが持っているリーチはどのくらいあるのか?
これらに焦点を当てましょう。
もっと突き詰めて、「似たようなキャンペーンや競合と比較して、どの程度のリーチがあるのか」、インフルエンサーに直接聞いてみるのも良いでしょう。
可能な限り、キャンペーン内容や制作されたコンテンツが似通ったものと見比べるべきです。
インフルエンサー・マーケティングに関しては全ての業界が同じ基準、というわけにはいきませんから。
リーチの定義とは?
より有効なのは、
- インフルエンサーの持つオーディエンス構成要員
- 現在スポンサーのついたコンテンツでどれだけの成果をあげているか
という2つのフィルターを通して成功の可能性を探ることです。
インフルエンサーのフォロワー数に基づいて概算したリーチがどれだけ多くても、そもそものリーチしたいと思っている対象(年齢層や性別など)は、そのうちの何パーセントなのでしょうか?
オーディエンスの平均エンゲージメント率を調べてみましょう。
インフルエンサーのコンテンツにきちんと反応を示しているでしょうか?
そのほか、より現実的なリーチとエンゲージメント率を感覚的に捉えるために 過去の似たようなスポンサーのついたコンテンツの内容や成果を精査することも大切です。
(インフルエンサーの愛らしい子犬との自撮り写真の成果と、ブランドとのタイアップキャンペーンとの統合の効果を比較しても意味がありません。)
その2.に続きます。