インフルエンサーマーケティングとは? 成功事例・定義を徹底解説

※本稿は2020/08/07 にアップデートしました。
Facebookやインスタグラム、TikTokといったSNSの隆盛に伴い、インフルエンサーと呼ばれる人々が増えています。さらにインフルエンサーを起用したマーケティングである「インフルエンサーマーケティング」という言葉も頻繁に聞かれるようになってきました。
本稿では、インフルエンサーマーケティングとはどのようなものかについて考えてみます。

1) インフルエンサーマーケティングとは?

インフルエンサーとは特定集団の中で影響力のある人物で、近年では特にインターネットの世界で影響力のある人々を指して用いられます。

インフルエンサーとは? 事例・定義を徹底解説

2016.02.01
「インフルエンサーマーケティング」とは、このインフルエンサーを何かしら動かすことによって行なうマーケティングのことを指します。
「自社の商品サービスを気に入ってくれたユーザに、そのサービスを周囲の人に勧めてもらう」、あるいは反対に、「もともとインフルエンサーである人々に自社のサービスを気に入ってもらい、拡めてもらう」。
これらを有償無償で行う行為がインフルエンサーマーケティングだと考えられます。
あるいは、企業側が意図せずとも、自然発生的にインフルエンサーが情報を拡散していくことが起こる場合もあるでしょう。
YouTubeにゲーム実況動画をアップロードして人気を集めているYouTuberは、もちろん好きなゲームをプレイしてそれを世の中に拡散しています。
Instagramで人気の渡辺直美さんは、自分が気に入ったものしかコンテンツとしてアップロードしないとも言います。
山本晶 著『キーパーソン・マーケティング』では、インフルエンサーマーケティングはクチコミを活用したマーケティング手法の一つで、「コミュニティのなかで周囲に影響力のある人物を見つけ出し、商品やブランドを紹介する手法」と定義されています。同じクチコミ・マーケティングであるバズ・マーケティングやバイラル・マーケティングとは明確に異なると論じられています。

2) インフルエンサーマーケティングの様々な形

近年では広告メニューの一つとして、特にSNSの領域において特定のインフルエンサーを起用する方法が出揃ってきました。一方で振り返ってみると、インフルエンサーを起用したマーケティング自体は、特段新しい手法ではないように思えます。

1.無作為なインフルエンサー?

例えば、消費財のプロモーション等で古くから行われているのが、試供品を配るという手法です。洗剤、化粧品、ガム、タバコなどはよく配布されているのを見かけます。
サンプリングという手法です。
この販促手法は、消費者に実体験を提供することが主な目的ではありますが、実際に体験した人が気に入って拡散するという側面もあるように思えます。
サンプリングは、インターネット上ではインフルエンサーマーケティングの一つの形態として行われることもあります。
SNSのインフルエンサーやブロガーを対象に新商品を提供し、インフルエンサーがレビューコンテンツをアップロードするという形で情報を拡散させます。
また、意図的にサービスを拡散させる手法に、バイラル・マーケティングと呼ばれるものもあります。銀行・証券会社のプロモーションでよく見かける、「ご紹介キャンペーン」といったものが典型です。

2.専門知識を持った人がインフルエンサーとなる例

自動車のプロモーションについて考えてみます。新車が販売されるタイミングでは、専門誌や専門ウェブサイトに必ず自動車の試乗レポートが出てきます。
実際レポートしている方は専門性の高い知識・あるいは経験を持った方々である場合が多く、インフルエンサーとしての役割を果たしているように思われます。
(有名なところでは、徳大寺有恒氏など。)
自動車のような製品の場合、大多数の人にとって気軽に体験することは難しいため、専門家であるインフルエンサーが「大多数の消費者の代理として体験してもらう、そして体験を共有してもらう」ということが、生産者側にも消費者側にもとても価値のあることだといえます。
企業側からすると、テレビコマーシャルのようなマス広告とは異なる方法で、インフルエンサーにアプローチして一般消費者の関心を集めることができるということになります。
カメラの専門誌に載っているようなカメラマンによる一眼レフカメラの使用レポートなどにも同様のことが言えると思います。
カメラメーカー・レンズメーカーの中には、自社のパンフレットにインフルエンサーとなるプロカメラマンの作例を掲載しているところもあります。

3.尊敬・憧れの対象がインフルエンサーとなる例

大学教授やスポーツ選手などの専門家が「監修」あるいは「実際に使う」という形でインフルエンサーとなることもあります。
サッカーシューズなどのスポーツ用品には昔から「◯◯選手着用・仕様(使用)モデル」というものがあります。実際の試合で選手がそれらの道具を使っているケースも有り、選手に憧れる一般消費者としては、スポーツ用品を選ぶ際に大きく影響されます。
一例として、スポーツ用品メーカーのミズノは、「ミズノブランドアンバサダー」というものを設置しています。ここでは「アンバサダー」という表現が用いられており、有名選手がブランドや製品の価値を伝える役割を担っています。
baseball
余談ですが、インフルエンサーを自前でプロデュースしてしまう例もあります。1980年代に少年・少女時代を過ごした方々は、旧ハドソン社の「高橋名人」を覚えていることでしょう。
同じようなケースで、90年台のミニ四駆ブームの際には、タミヤ模型には「ミニ四ファイター」というインフルエンサー的な人物が存在しました。

3) インフルエンサーマーケティングが必要とされている3つの理由

前述の例をみても、広義のインフルエンサーマーケティングは決して新しいものではないといえます。簡単に体験できないもの(あるいは、体験すればわかるもの)、説明しにくいもの、専門性の高い領域については従来より盛んに行われていました。
そしてこのSNS隆盛の時代において、インフルエンサーマーケティングは一層重要視されています。

消費者の嗜好の変化、多様化

インターネットの普及・発展に伴い、人々はいとも簡単に多様な情報にアクセスすることができるようになりました。その一つの結果として、消費者の時間の使い方・お金の使い方が多様化しています。消費者のセグメントは細分化される一方で、年齢・性別というデモグラフィックだけでは区分・整理できないような状況です。
かつてマーケティングの世界では、ターゲットする消費者の属性を年齢・性別で区分した概念を用いることがほとんどでした。

たとえば、M1層:20-34歳の男性、 F2層:35-49歳の女性、といった具合に。
今では、より具体的なペルソナを想定してプランニングをすることが多いのではないでしょうか。
年齢、性別、職業といった要素以外にも、その人物の、性格、趣味、見ているテレビや雑誌といった生活スタイル、といった要素も加味した極めて具体的な人物像を想定してマーケティング戦略を考えるのが一般的になりました。
このような背景のもと、商品を広告する際のメディアの選定は、複雑化しつつあります。
(「F1向けの商品だから、このドラマとこの雑誌に広告を出そう」というようなシンプルな決定がしづらくなっています)

消費者の情報接点の変化、多様化

マスメディアの代表であるテレビを視聴する人々が減っていると言われて久しいですが、インターネットの世界でも同様のことは起きており、「誰もが見ているポータルサイト」という性格のサイトも減ってきています。
もちろん、日本ではテレビほどのリーチを実現するメディアは他になく、Yahoo!Japanは多くのユーザーに見られています。一方でこれらにほぼ接しないで生活するという層が増えてきているのも明らかです。
これはもはや単純にオフライン(テレビ・雑誌)からオンライン(インターネットメディア)へと、消費者の情報の取得先が移ったというだけでは済みません。
スマートフォンの普及によって、人々の情報接点はWebからアプリへと移り始めています。
情報・ニュースキュレーションアプリや、特定カテゴリに特化したコミュニティアプリが百花繚乱という現状がこのことを示しています。
消費者が物事を調べる手段ももはやGoogle検索だけではないのです。

消費者の意思決定プロセスの変化、多様化

得られる情報の量が増える、情報ソースが増える、というのは消費者にとっては基本的には好ましいことです。
一方で、多量の情報の中から信頼に足るものを探して判断するという行為は、それなりに「面倒」なことでもあります。
このため、「この人が言っているのだから間違いないだろう」と、何らかのオーソリティに判断を委ねたいという心理も働くものと思われます。
消費者が判断を委ねる先が、テレビや広告ではなく、インターネットの情報コミュニティや、インフルエンサーになっているというわけです。

SNSに限らず、価格コムや食べログといったレイティングサイトにもインフルエンサーは存在します。
筆者の大好物は麺類なのですが、うどんが主食さんのレビューを非常に参考にしています。
このような環境の変化の中、自社の製品サービスの見込み顧客となる「特定の集団」の「インフルエンサー」に情報を拡散してもらうことが大きな意味を持ってくるのです。
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4) インフルエンサーマーケティングに取り組む前に

インフルエンサーマーケティングに取り組むハードルは下がってはいますが、インフルエンサー自身が商品サービスに対して共感していない限りは宣伝効果は見込めません。
消費者は賢く、情報収集能力に長けています。あざとい手法はすぐに看破されて、場合によっては悪評に繋がります。
ステルスマーケティング(ステマ)が露呈した実例は枚挙に暇がありません。

ステルスマーケティングとは、広告であることを意図的に隠して実施される広告。
例えば、インスタグラマーは自分のライフスタイルやプライベートな部分を公開・共有することでフォロワーを集めているケースが多いです。
そのため、仮にその人のイメージに合わない洋服を宣伝目的で着たとしても、フォロワーが共感することはないはずです。
消費者が求めている「共感する」「憧れる」「納得する」といった感情を大切にする視点が、インフルエンサーマーケティングに取り組む上では非常に重要だと言えるのではないでしょうか。
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5) インフルエンサーマーケティングにおける指標

また、インフルエンサーは、よく「フォロワー数、◯◯人」「チャンネル登録者数◯◯人」といった広さ(リーチ、reach)を尺度として話題になったり、評価されたり、します。
どうしてもインフルエンサーが多数のファンを抱えている、という点にばかり目が行きがちですが、ファンから見れば、インフルエンサーとはあくまで一対一の関係です。
ファンの多寡は「ファン自身が影響されるかどうか」にはそれほど重要ではなく、自分がどれだけ信頼できるか・共感できるか・納得できるか、が実際に行動に移すかどうかを決めるわけです。
インフルエンサーマーケティングについて論じる際には、インフルエンサーが自らのファンに「きちんとメッセージを届けられるか?」という深さ(デプス、depth)の議論が不可欠だと考えます。
細分化され尽くしたターゲットセグメントに対して、必要な「広さ」と「深さ」とでコミュケーションを実現できることが、インフルエンサーマーケティングの価値だと言えるでしょう。

6) インフルエンサーマーケティングの事例

実際の事例については、RIPPLYの各記事で紹介しています。

そもそもインフルエンサーとは?

YouTuberを起用した事例

海外のインフルエンサーマーケティング事例

オフラインメディアでの事例

インフルエンサーマーケティングで失敗しないために

7) インフルエンサーマーケティングに関するデータ

YouTuberタイアップ広告のトレンド・市場規模に関するデータ

THECOOによる調査データを公開しております。

「インフルエンサー」の検索数は急上昇し、強いトレンドが明らかに

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8) インフルエンサーマーケティングの実施をご検討なら

THECOO株式会社ではインフルエンサーマーケティング実施についてのご相談も随時お受けしております。
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