インフルエンサーとは? 事例・定義を徹底解説

※本稿は2020/8/7 にアップデートしました。
昨今、マーケティングの界隈では「インフルエンサーマーケティング」という言葉が話題になっています。
「インフルエンサーマーケティング」とは、文字通りインフルエンサーを活用したマーケティング手法を意味しますが、そもそも「インフルエンサー」とはどのような存在なのでしょうか?

1) インフルエンサーの意味

インフルエンサーとは、英語の”influencer“に由来します。

  • influence = 動詞では、「影響する、影響を与える」という意味。名詞だと「影響、影響力」、あるいは「権威、威光」というニュアンスまでもあります。
  • influencer = 影響をあたえる人

日本語にはこの英語のインフルエンサーにぴったりと当てはまる表現がないため、カタカナのインフルエンサーという言葉が定着したのだと思われます。
このように、「influencer = 周囲に影響をあたえる人、周囲を感化させる人」、という意味です。
本来は他者への大きな影響力を持っている人々全般を指します。
テレビタレントやミュージシャン、スポーツ選手や小説家・文筆家などが分かりやすい例です。
一方で、近年インフルエンサーという時には、主にインターネットの世界で人々の購買活動に対して影響力を持った人を指すことが多くなっているようです。
実際に、デジタル大辞泉(小学館)では以下のような定義がされています。

《影響、感化、効果の意》他に影響力のある人やもののこと。特に、インターネットの消費者発信型メディア(CGM)において他の消費者に大きな影響を与える人。

インフルエンサーをもはやインターネット上の存在として限定しています。
消費者発信型メディア(CGM)とは、2000年台初頭にブログが広まった頃にもてはやされた言葉です。

補足
CGM=Consumer Generated Media
似た言葉には、下記があります。

  • UGC=User generated contents
  • UCC=User created contents

最近では、UGMと表現されることが多いように感じます。

  • UGM=User generated media

2) インフルエンサーの活躍するプラットフォームの移り変わり

最近のインフルエンサーはソーシャルプラットフォームで活躍

インフルエンサーといって、最近話題になるのは、「Twitterでのインフルエンサー」「Instagramでのインフルエンサー=インスタグラマー(Instagrammer)」といった、ソーシャルサービス上でたくさんのファン・フォロワーを抱えている人々です。
Twitterのインフルエンサーは、元々テキストによる発信・表現で注目を集めている人が多いようです。
「政治、ビジネス」といったニュース性の高い領域、「映画やアニメ、ゲーム」といったメイン・サブカルチャー領域でフォロワーを集めています。
最近では写真や動画による「やってみた」のような投稿で人気を集めている人も増えてきました。

文化人・ビジネスマン(起業家)・政治家も多い。
例えば、孫正義氏のTwitterフォロワー数は274万人を越えています。
堀江貴文氏に至っては352万人超。
安倍首相は210万人。橋下徹氏は258万人。
田原総一朗氏は108万人。
なお、日本でTwitterのフォロワーが最も多いのは、タレントの有吉弘行氏。743万人を越えています。余談ですが、Twitterの媒体資料によると、Twitterのユーザーは10代~20代前半の女性が中心です。その中で743万人のフォロワーを誇る有吉さんは、幅広い年代から人気(若い女性からも支持)だということなのでしょう。
トランプ大統領のフォロワー数は8,474万人超です。
一方でInstagramのインフルエンサーは、写真や動画による表現です。
例えば、「洋服やメイクといったファッション」や「アート」、「グルメ」などの領域です。人気インスタグラマー(Instagrammer)は自らのInstagramアカウントに表現する「世界観」や「美意識」を非常に大事にしています。
また、一枚の写真をアップロードするのに、何枚もあるいは何百枚も写真を撮影するといいます。こうして一定のコンセプト、高いクオリティーで統一されたインスタグラマー(Instagrammer)のアカウントには、その世界観・ライフスタイルに共感するファンが集まります。
タレント・芸能人でなくとも、数万人のファンを抱えているようなおしゃれな女性も多数存在するわけです。
芸能人・モデルが強い、日本のInstagramアカウントのフォロワーランキング。
渡辺直美さんの942万人を筆頭に、
ローラさん620万人。
水原希子さん559万人。
山下智久さん515万人。
佐々木希さん439万人。
参考になるのは、2016年3月に話題になったGENKINGさんの発言。
TechCrunch: Googleは使わない、SEO対策しているから——Instagram有名人のGENKINGが語った10代の「リアル」
http://jp.techcrunch.com/2016/03/03/istagram-genking/
GENKINGさんはまさにここで論じているインフルエンサーの典型といえる経歴の人物です。
そのインフルエンサーが語る「情報探す際、Googleでは検索しない、SNSで検索をする」というのは程度の問題はあれ、一考に値します。
いま、SNS上の情報、つまりはSNS上のインフルエンサー達が発する情報というのが大きな価値を持っています。

インターネット上でのインフルエンサーの先駆けはブログ、ブロガー

以前はどうだったのでしょうか?
口コミでの情報伝播におけるインフルエンサーの概念を論じたものとして、『The Tipping Point(邦題:「急に売れ始めるにはワケがある ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則」)』(マルコム・グラッドウェル著)という著書が2002年に刊行されています。
本著では、コネクター・メイブン・セールスマンという特殊な才能や性向を持った少数の存在が大多数の意思決定に影響を与えていく、モノが売れていく、様が紹介されています。
2002年頃というと、日本でも様々なブログサービスが始まり、ブログブームが起こった時期と重なります。
アルファブロガー、パワーブロガーと呼ばれるインフルエンサーが数多く登場しました。
影響力を持つブロガーのブログは広告媒体としての価値を持ち、ブロガーが紹介する商品が売れるということで、多くの企業がマーケティング施策として取り入れるようになります。
美容関係の商品や、健康食品、旅行業・ホテル業、などが当時から今現在に至るまで、ブロガーを積極的にマーケティングに起用してきました。
2000年初頭頃、ブロガー・インフルエンサーとして圧倒的な存在感があったのが女優・タレントの紗栄子さん。
Ameba Blogで紹介する商品は常に話題になりました。
ママインフルエンサーの先駆けだったと言えるでしょう。
今となってはInstagramに主な活動の場を移した感はあります。

3) インフルエンサーになるには? 誰でもなれる?

歴史的には、ブログの登場によって、個人が簡単にメディアを持ち情報発信できるような環境が整ったと言えるでしょう。
もちろん、芸能人・スポーツ選手の中にも自身のソーシャルメディアで多くのユーザーを抱えており、テレビメディアの外でもその知名度を活かしてインフルエンサーとして人々の注目を集めている方々もたくさんいます。
一方で着目すべきは、知名度のない一般の人でも、その人の発信する情報に価値が認められれば、誰もがインフルエンサーになりえるという事実です。
近年のソーシャルメディアの普及は、状況にさらに拍車をかけています。
また、スマートフォン・高速通信回線の普及というデバイス・インフラ面での下支えもあって、人々は「いつでもどこでも」・「リッチな情報を」発信することができるようになりました。
個人が発信できる情報の量・質ともに、格段に向上していると言えるでしょう。
こうした背景をもとに、インターネット時代特有のインフルエンサーが次々に誕生しています。
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4) インフルエンサーの舞台となるプラットフォームはますます拡大

従来はインフルエンサーの活動の場は、概ねブログに限られていたと言えるでしょう。
現在は動画投稿サイトのYouTube、ニコニコ動画、TwitterやFacebook、Instagram、Snapchatといったソーシャルメディアへ、インフルエンサーの活動の場所はますます拡がっています。
注目すべきは、それぞれのソーシャルメディアごとに利用ユーザー層の特色があること。
そして、そのメディアで影響力のあるインフルエンサーにも特色があることだと思われます。
ユーザー側の観点に立つと、
「誰しもが自分が得意とする領域で、得意とする層に向けて、メディアを選んで情報を発信できる」
一億層インフルエンサーという可能性のある時代。
一方でマーケティングを考える企業側の視点に立つと、
「嗜好が細分化され尽くした消費者の動向を捉えるためには、
自社のターゲットセグメントにおけるインフルエンサーの動向を理解することが非常に重要」
となってきていると考えられます。
なお、インフルエンサーに関する人々の関心が急激に高まっていることが、「インフルエンサー」という言葉の検索量が急激に伸びていることからも見て取れます。

『インフルエンサー』の検索数が急増、昨対比200%に!

2016.06.08

5) 小規模なインフルエンサー、「マイクロインフルエンサー」という言葉も登場

これまでの文脈から、インフルエンサーはもはや「インターネット上のインフルエンサーのこと」、と言い切ってしまえるかもしれません。
それは従来の「有名人」や「オピニオンリーダー」とは明らかに違う存在なのだと。
そして最近では「マイクロインフルエンサー」なる言葉も出てきました。
影響を与える範囲・人数は相対的に多くはないものの、特定の狭いカテゴリー・コミュニティで多大な影響力を発揮するようなインフルエンサーのことです。
狭いコミュニティであるほど、インフルエンサーとファン・フォロワーとの結びつきが強く、インフルエンサーの影響力は大きくなると言います。
人々の嗜好が細分化してきた現在、一層このマイクロインフルエンサー的な存在が注目されると考えられます。
企業が製品プロモーションを行う際に、「この商品はF2向けだから、このテレビ広告枠とこの雑誌広告枠で~」といったシンプルなプランでは、もはや対象となる消費者にメッセージを届けられないという時代です。
自社の製品のターゲットとなるコミュニティでの「マイクロインフルエンサー」に対して確実に情報を届け、マイクロインフルエンサーからの情報拡散を狙う、ということが今後はマーケティングの基本となってくるものと思われます。
マイクロインフルエンサーについては、下記をご参照ください。

1~10万人のファンを抱えるマイクロYouTuberの影響力は、 ファン数100万人以上のスターYouTuberの約2倍!!

2016.06.01

インフルエンサーマーケティングが本来果たすべき役割とは?成功例と失敗例と。

2016.09.14

6) インフルエンサーとマーケティング

このように、インフルエンサーという言葉を用いるとき、近年ではインターネットの世界のインフルエンサーを指すことが多くなっています。
とりわけ、有名人ではない一般の人々でインフルエンサーと呼べるほどの影響力を持つ人々が増えています。
インフルエンサーは様々なメディアに活躍の場を広げており、マーケターは商品サービスの対象セグメントに応じて、様々なメディアとその中で活躍するインフルエンサーを観察していく必要があるのではないでしょうか。
実際のインフルエンサーマーケティングの事例については下記で詳細にご紹介しております。

インフルエンサーマーケティングとは? 成功事例・定義を徹底解説

2016.02.03

7) インフルエンサーマーケティングの実施をご検討なら

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