「インターネット広告の主流であるネットワーク型の広告では、ブランディング施策が難しい」
これは、広告主のみならず媒体社や広告代理店に勤める人々が日々実感するところです。
この課題に対して様々な解決策が出てくるのは、ウェブマーケティングに関係する人々にとっては非常に興味深いことだと思います。
インターネット広告でのブランディング施策のニーズ
電通報に「動画広告出稿時に気をつけたい、ブランド毀損のリスクとは?」というインタビューが出ていました。
- これまでインターネット広告の主流であった「CPA重視の刈取り型の施策」だけでなく、「動画を用いたブランディング施策」を実施したい企業が増えている
- 現状主流であるオープンな広告ネットワークでは、広告主の「ブランド価値・イメージを毀損してしまう」懸念がある
- 上記1,2に対する解決策として電通社として「PMP(プライベート・マーケット・プレース、優良広告枠限定の自動取引システム)」を提供する
PMP(プライベート・マーケット・プレース)の仕組みとは
この電通社の広告商品は「Premium Videoシリーズ」と称されるもので、2016年2月に「Premium Videoシリーズ」に発表されています。
配信のシステムはGoogleのDoubleClick Bid ManagerとDoubleClick Ad Exchangeがベースになっているとのことです。
DoubleClick Bid Manager自体は、広告枠の売り手(広告媒体)と買い手(広告主)とをRTB(Real Time Bidding)でマッチングさせるものです。
主にオープンな、開かれた市場(広告主が買える枠に制限がない)での取引が前提になっていますが、実はクローズドな市場で広告枠を売買する機能も備わっています。
Googleを仲介者として、広告枠の買い手と売り手とがマッチングされるわけですが、下記の仕組みです。
- 広告主には「一定の基準に基づく品質の高い枠」が提示される
- 広告媒体には「一定の基準に基づく品質の高い広告(主)」が提示される
これによって、DoubleClick Bid Manager上では、RTBの取引でありながら、売り手・買い手の相互に一定の品質が保証されたプライベートネットワークでの取引が実現します。
PMP(プライベート・マーケット・プレース)の可能性
このように、もともとDoubleClick Bid Manager にはGoogleを仲介者として、品質の担保された広告ネットワークを利用する仕組みはあります。
電通社のPMPは、上記をさらに発展させたものが想定されているのでしょう。
電通社の強力なメディアバイイング力で良質な媒体(広告枠)を集め、顧客であるナショナル・クライアントとの広告出稿とをマッチングさせるのだと考えられます。
広告ネットワークの質を高めることで、クライアント側のブランディングのニーズを満たしつつ、広告単価を高く維持することが可能になるのだと思われます。
電通社の持つネットワーク力を最大に活かした広告商品であり、要注目です。
まとめ
電通報のインタビューには下記の指摘があり、非常に共感するところです。
- YouTubeが出稿媒体として成熟したこと
- 動画広告のフォーマットが発展し、従来テレビCMでしか表現できなかった広告クリエイティブをWebで展開できるようになったこと
アメリカのYouTuberの作品(アメリカではYouTuberではなく、YouTube Starという言い方が一般的です)を見ていると、その品質の高さ・スケールの大きさはテレビCMのクリエイティブと肩を並べる程です。
そういったYouTuberとナショナルクライアントとがブランディング目的のタイアップ動画を制作しているケースも出てきています。
今後、日本でもYouTuberの活躍の場が広がっていくことで、YouTuberとタイアップした「ブランディング広告」という施策が一般的となってくるかもしれません。