インフルエンサーを起用してのブランディング・ユーザーコミュニケーションの事例として、スワロフスキーのケースをご紹介します。
スワロフスキーはSnapchatも使い始めたようです。
スワロフスキー、インフルエンサーとしてカーリー・クロスを起用
高級ジュエリーブランド、スワロフスキーは、Instagirl(インスタガール)のスーパーモデル、カーリー・クロスとの新しい提携や、Snapchatのアカウントの立ち上げを2016年5月に発表しています。
デジタル・マーケティングに力をいれているようです。
カーリー・クロスのInstagram
https://www.instagram.com/karliekloss/
カーリー・クロス:米国のファッションモデル。 ファッションブランド「ヴィクトリアズ・シークレット」の“エンジェルや、ビューティーブランド「ロレアル」のアンバサダーなどを務めた。
2013年からスワロフスキーの顔としてやってきたオーストラリアのモデル、ミランダ・カーに変わり、このハイエンド・クリスタルジュエリーブランドの新しい顔となるのがクロスです。
スワロフスキーは、クロスが持つYouTubeチャンネルと初めて提携を結ぶ企業です。
彼女のデジタルでの存在感(彼女のチャンネル登録者数はおよそ50万人 *2016.10月)を活用し、ミレニアル世代の顧客との距離を縮めたいと思っています。
Klossy(クロスのYouTubeチャンネル)
https://www.youtube.com/channel/UCH5Qu8Sd-m-7Zk4xc_J5VzA
スワロフスキー、Snapchatアカウントを開設
その動きはSnapchatアカウントの立ち上げにも見て取れるでしょう。
去る5月に、インフルエンサーのブライアン・ボーイを迎えて、パートナーシップの始まりを告げるカクテルパーティーの模様をSnapchatでライブ放送しました。
スワロフスキーは今度はSnapchatを用い、インフルエンサーやブランドと交友のある人たちの写真を載せたり、イベントの模様や舞台裏の写真、商品紹介などを公開したりするそうです。
同社はすでにUKの若者達の間でトップ5位に入るラグジュアリーブランドだと認識されています。
ユーザーに寄り添ったスワロフスキーのコミュニケーション
Glossyはスワロフスキーのコミュニケーション・PR・イベントの副総括を務めるエレナ・アッシュバーガー氏に同社のデジタル社会の中での現状や今後の挑戦などについて話を聞きました。
このキャンペーンは今までのものとはどう違うのでしょうか?
このキャンペーンはデジタルの取り入れかたが違います。
テレビからイメージ写真や映像を持ってきてInstagramやYouTubeに載せるのとは違い、デジタル社会において人々がどうやって同社と関わっているのか、どうやって情報を取りいれているのか、を第一に考えています。
そして、同じことを繰り返すのではなく、彼らがすでに興味を持っているものを提供しています。
例えばですが、スワロフスキーという社名の発音をクロスが人に教えるという動画を作ったのは、ただ単に人々の需要に答えるためなんです。
会社の名前をどう発音するかは、社名を検索すると3番目に多く上がってくる検索結果なのです。
こちらが、「スワロフスキー」の発音について開設した動画。
スワロフスキーのYouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/user/swarovski
swarovskiの創業者はチェコ人のダニエル・スワロフスキー。東欧圏の名前ですね。
“swarovski”日本人ではブランドを知っていなとまず読めませんが、英語圏の人も読めないものなのですね。
デジタル技術やソーシャルメディアは、会社のグローバルな成長や売り上げにどのように貢献しているのでしょうか?
私たちは特定のデジタル領域でのキャンペーンがどの程度会社の利益につながっているのかを数値化していません。
なぜなら、私たちが思うデジタルの役割とはコアな層の消費者が何を考えているのか、それを探求することだと考えているからです。
消費者とのコミュニケーションの一貫であり、セールスを伸ばすためだけにデジタルを取り入れているわけではなく、ブランドを構築していくための手段と捉えています。
50以上のマーケットに参入していますが、英国と米国は非常にデジタルに強く、オンラインショップ市場で我々は成長し続けています。
Snapchatはコアな顧客層と繋がる場所
スワロフスキーはSnapchatでチャンネルを立ち上げましたが、なぜでしょうか?そこから何を期待していますか?
立ち上げた理由は私たちのコアな顧客層からの人気が高いからです。
Snapchatは人々が時間を費やしている場所で、これは彼らとつながるいい機会だと思っています。
さらに、ギラギラに加工され作られたようなプリント広告をやめ、リアルであることに重点を置き、消費者との、見せかけではないリアルなつながりを作る、そのよい機会だと思います。
デジタルやソーシャルメディアについて会社はどのような課題に直面していますか?
昔は、Above‐The‐Line 広告(テレビ・新聞・ラジオ・雑誌を利用した広告)、E-コマース、広報、この3つは切り離して考えられていましたが、今はこの境界がなくなりつつあります。
そこで、自社で新しく設けられた役割というのが、デジタル、広報、そしてイベントの3つを統括する仕事であり、それが私に任されています。
何をするのにも当てはまると思いますが、それぞれを一つにまとめ上げていくための協力体制を整えることが課題です。
私たちは、
従来の店舗型ビジネスはE-コマースにとってかわるのか?
デジタルがコミュニケーションの唯一の方法になるのか?
などについてよく話をします。
少なくとも、今はE-コマースも従来型のビジネスもどちらも存在します。
ですので、私たちは、もしデジタルにシフトしていったとしても、その動きについていけるだけの柔軟性を持っていようと思っています。
まとめ
こちらがスワロフスキーオンラインショップです。
http://www.swarovski.com/Web_JP/ja/index
ECサイトとして非常にユーザビリティが高く、デスクトップからでもスマートフォンからでも、閲覧しやすいです。
ハイブランドの場合、得てしてブランドメッセージを発信するためのブランドサイト(またはコーポレートサイト)と、商品を売るためのECサイトが上手く棲み分けられていないケースが多いように感じます。
ハイブランドのマーケターの人々と会話をしていると、
Webでどうブランディングするのか、プロモーションするのか、の指針が曖昧だったり、
あるいはECサイトでどう売るのか、の方針が定まっていないケースが多々あります。
理由としては、
会社の中でのWebの位置付けが実店舗やオフライン広告と比較して低い、だとか。
あるいは、Webの売上責任と実店舗の売上責任が反目するような組織構成になっている、だとか。
そもそもWeb関係は本国で一元管理されていて、日本ローカルで改善のしようがないだとか。
様々です。
一方で昨今、O to O(オンラインtoオフライン)やオムニチャネルといった、実店舗とECでの販売戦略を統合的に策定していく考え方が物販のトレンドでもあります。
スワロフスキーの場合、ブランディングや広報、プロモーション活動の成果は、
オフラインとオンラインとに個別に分離できないので、全てまとめて評価する、という姿勢です。
これがまさに、実店舗とEC店舗を持つ業態にとってもっとも本質的なことなのではないでしょうか。