メルカリが仕掛ける、インフルエンサーマーケティングとは。 -メルカリ 鋤柄直哉氏

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インフルエンサーを起用したマーケティング施策=インフルエンサーマーケティング。
北米ではもはやマーケティング施策に不可欠な一つの柱として定着した感がありますが、日本ではまだまだ普及の途上です。
その中で、実際にインフルエンサーマーケティングに取り組まれている企業へインタビューをさせて頂きました。

今回ご登場いただくのはフリマアプリ「メルカリ」を運営する株式会社メルカリ。

YouTubeで活躍するインフルエンサーであるYouTuberを同時に10名以上起用するという施策を実施し、普段運用されているオンライン広告を上回る成果を挙げた事例をご紹介します。

株式会社メルカリ プロモーショングループ シニアマーケティングスペシャリスト
鋤柄直哉(Sukigara Naoya)さん
にお話を伺いました。

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#インタビュアー:THECOO株式会社 下川 / 中山

No.1フリマアプリ メルカリとは?

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●メルカリは日本国内NO.1フリマアプリとして誰もが知るサービスですが、改めて、メルカリの魅力について教えてください。

鋤柄さん:メルカリはダウンロード数3,500万を越えていて、出品数も毎日50万品以上に上ります。「日本最大のフリマアプリ」といって間違いないと思います。
このマーケットプレイスとしての規模の大きさが、メルカリの最大の魅力です。
また、カスタマーサポートもとても充実しています。
現在、仙台・東京合わせると、200人弱ぐらいサポートのスタッフがいて、何かトラブルがあった場合でも、すぐに対応できるような体制を整えています。

3,500万ダウンロードを突破したメルカリのプロモーション戦略とは?

●これまで、メルカリはどのようなプロモーションを実施してきたのでしょうか?

鋤柄さん:プロモーション戦略は、サービスのフェーズに合わせて変えてきました。
まだサービス規模が小さかった頃は、オンラインプロモーションが中心でした。
そこでは「いかに効率よくユーザーを獲得するか」を追求していました。

ある程度オンラインでのユーザー獲得が進んだ後は、「まずテレビCMで認知させて、オンラインプロモーションで刈り取る」、という戦略に移っています。

初のテレビCM実施は、2014年の5月でした。
この時期はダウンロード数もまだ200万程度で、メルカリ自体の認知度は高くなかった時期です。
この時のテレビCMの最大の目的は、「メルカリという名前を知ってもらいたい」ということでした。
また、フリマアプリというのは、「売り・買いどちらもできるものですよ」という点を、しっかりと伝えたかったので、その訴求に絞って、広告クリエイティブを制作しました。

その後、サービス規模や認知率などに合わせて、クリエイティブの訴求内容やオンライン広告の運用手法などを徐々に変えてきた形になります。

●オンラインプロモーションで出稿される広告メディアは様々あると思うのですが、どういった媒体に出稿されているのでしょうか?

鋤柄さん:メルカリの場合はほとんど全てのオンライン広告メディアに出稿している、というのが回答になってしまいます(笑)。
中でもボリュームが大きいのは、Facebook、Twitter、Google AdWordsですね。

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ユーザーとのより深いコミュニケーションの必要性を感じて

●ここまでのお話で、テレビCMで認知度を上げて、オンラインで刈り取るという流れが出てきました。今回実施されたインフルエンサーマーケティングは、どのような位置付けでしょうか?

鋤柄さん:インフルエンサーマーケティングは、ユーザーとのより深いコミュニケーションを実現することが目的です。

今のようにある程度メルカリの認知が高まっている中でもメルカリをまだ使っていない人というのは、メルカリがフリマアプリだと認識はしていて、それでもダウンロードしていないわけです。
これは、メルカリにまだ十分な魅力を感じていないということですよね。
そういう人たちに、もっとメルカリの魅力を具体的に伝える必要があると感じていました。

そこで強い影響力を持つインフルエンサーを通じて、動画で、メルカリのサービス内容を伝えることを考えました。

●今回のインフルエンサーマーケティング、具体的には「10名以上ものYouTuberを同時に起用して、メルカリを使っている動画を撮ってもらう」というものですが、企画のポイントはどこでしょうか?


鋤柄さん:「メルカリを使って買ってみた・出品してみた」といった単純なクリエイティブにしなかったのが一つのポイントですね。

「要らなくなった物を、別の今欲しいものに換える」という使い方が、メルカリの理想なので、インフルエンサーには、「出品した後にその売上金で商品を買う」という一連の流れを動画の中で実演してもらいました。

メルカリというサービスの全体像を視聴者に具体的に見せることで、メルカリの使い方や面白さが十分に伝わった結果、ダウンロードにつながったのだと考えています。
また、インフルエンサー自身が私物をメルカリ内に継続的に出品したというのも大きな反響を呼びました。

●実際にインフルエンサーと呼ばれている方々が、「私も出品します」と、私物を出品されていました。YouTube動画のコメント欄でも視聴者の方が買えた、買えなかったと盛り上がっていましたね。

鋤柄さん:動画が投稿されてすぐ、メルカリ上でも出品された商品に対して色々なコメントが付いていたので、YouTuberはファンとの結び付きが濃いことを改めて感じましたね。

動画を観た視聴者が実際にダウンロードし、使ってくれた。

●YouTuberとのタイアップ動画の再生数は総数100万回弱となりました。この結果についてはどのように評価されていますか?

鋤柄さん:再生回数はそれほど意識していません。その後の視聴者のアクションのほうが大事なので、動画を観た多くの人が実際にメルカリをダウンロードして、利用してくれた、という点を評価しています。

ダウンロード後の実際のサービス利用率は、通常の広告に比べて30-40%高いという結果でした。
購入の転換率だけでなく、出品の転換率も通常広告に比べて高かったので、動画でしっかりメルカリの魅力を伝えることができたのだなと感じました。

●CPI(インストール単価)で評価するといかがでしょうか?

鋤柄さん:CPIについても良い結果が出ました。オンラインの広告メディアで設定している目標CPIよりも安く獲得でき、結果としては大満足です。すごく良い数字が付いてきたと思っています。

CPIは、動画の説明文に記載したURL経由のダウンロード数と、動画公開後のオーガニック流入の伸び幅を合算しています。

今回施策が成功し、効果検証もできたのは、YouTuberの動画のアップ時刻を揃えたから、という側面もあります。

このような施策を行なうとき、やはりオーガニックの伸びまで含めたダウンロード数を見ることが非常に大切だと思います。
そしてオーガニックへの影響を可視化するには、一度にある程度のボリュームで露出する必要があります。

今回、午後7時に一斉に動画をアップして、そのタイミングでのオーガニック流入が明らかに伸びていました。
これは効果検証していく上では、非常に大事なポイントだったと思っています。

●インフルエンサー施策に限らず、認知型の施策の効果計測は、広告主にとって常に大きな課題ですよね。「オーガニックの伸びを見る」、といったマクロな視点で広告施策を評価するというのは、メルカリではごく当たり前なのでしょうか?

鋤柄さん:テレビCMやテレビ番組内での露出も同様の考え方で評価しています。
ダウンロード数は1分1秒単位で追えるので、例えば午後7時ぴったりに全員動画を上げて、「そこから1時間は急速にダウンロード数が伸びた」となれば、それはもうYouTuberの影響とわかりますよね。
もちろん前週の同じ曜日だとか、前日の同じ時間と比較することは必要ですが、インフルエンサーマーケティングの効果は数字で出せると思いますね。

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どのような表現をしたいのか?目的が変われば、起用するインフルエンサーも変わる。

●特にYouTubeで活躍されているYouTuberを起用した今回のインフルエンサーマーケティングですが、YouTuberはどのような観点で選ばれたのでしょうか?

鋤柄さん:例えば、普段ゲーム動画ばかり上げている方が、ある日唐突にメルカリを紹介するというのは、視聴者にとっても違和感があると思います。そこはなるべく避け、メルカリと相性が良いコスメ・メイクアップ系の方などを中心に起用しています。

●普段から自分でメルカリを使っているんだろうな、と思えるYouTuberも何名かいましたね。

鋤柄さん:そうですね、今回のタイアップ動画を見て、改めて「インフルエンサー自身が好んで商品・サービスを使っている」という点は大事だと思いました。
メルカリをもともと使っていた人と、そうではなかった人とで、思った以上に表現の仕方に差が出ていましたので。
もちろん、メルカリを使っている人だけでやるべきだというわけではなく、使っていない人だからこその新鮮な感覚をクリエイティブにするという表現方法もあります。
どのような表現をしたいかによって、起用するYouTuberを選ぶ必要があると感じましたね。

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国内No.1と海外展開。そして、メルカリで働くということ。

●では、メルカリが今後目指すところについて、お聞かせいただければと。先日も、US(北米)でのダウンロードランキングが急上昇したと話題になりましたね。

鋤柄さん:会社としては、グローバル展開にフォーカスしています。USではランキングが上がって最高ではApp Storeの無料総合ランキング3位まで入り、ダウンロード数が急激に伸びています。そして次はUKですね。今既にロンドンにオフィスを開設しており、ローンチの準備をしています。

●メルカリは、世間から非常に注目を浴びていますが、内側から見るとどのような会社ですか?

鋤柄さん:やりたいと思ったことにどんどん挑戦できる会社ですね。私はオンラインの広告担当として最初は入社したのですが、いざテレビCMを実施するとなったタイミングで、自分から手を挙げてテレビCMも担当させてもらうようになりました。

他にも、実はメルカリは、リアルのフリマイベントも頻繁に開催しているのですが、最初のフリマイベントは私の提案がきっかけでした。
普段フリマイベントを公園でやっているいくつかの団体に、「メルカリというフリマアプリをやっています。今度リアルなイベントを行おうと考えているのですが、ご一緒できませんか?」といったメールを出すところから始まり、実際に開催するところまで漕ぎ着けました。

●海外展開のように、会社が大きく羽ばたいていく中で、鋤柄さんご自身は、どういうモチベーションで働かれているのでしょうか?

鋤柄さん:私が入社したのは、1回目のテレビCMよりも前で、ダウンロード数でいうと100万くらいの時期でした。そのときはまだメルカリは全然知られていなかったですし、使っている人も周りに1人もいなかったですね。

そんな時期に入社しているので、メルカリが日本中でこれほど使われるようになって、USやUKにも進出しようとしている現状には感慨深いものがあります。
その成長の様子を見て来られたというのもモチベーションになっていますし、まだまだ日本でも大きくできると思っています。また、自分がもっと大きくしていきたいという意欲もあります。

●今回、鋤柄さんにはメルカリにとってのインフルエンサーマーケティングの位置付けや評価について、他のマーケティング施策との関係も含めてお聞かせいただきました。
インフルエンサーマーケティングはときにその目的や評価が曖昧になりがちですが、メルカリでは「インフルエンサーマーケティングに何を期待し、どう評価するのか」が非常に明確なのが印象的でした。

そしてメルカリがそこで働く人々にとって素晴らしい企業だということと、鋤柄さんの会社愛とがひしひしと伝わってきました。
ありがとうございました!

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