米大手MCN、Fullscreenが語るインフルエンサー・マーケティングの最新事情 その2.

fstalk02

その1.に引続き、Fullscreenのセッション内容後半です。
ここでは、大手MCN(マルチ・チャネル・ネットワーク)であるFullscreenならではの強みとは?といった点が明らかにされています。

YouTuberなどのインフルエンサーを起用してのインフルエンサー・マーケティング、そしてMCNとしてのビジネスのあり方に関して、Fullscreen及び米市場が日本より遥かに先を行っていることが分かります。
下記は特に注目です。

  • インフルエンサー広告のプログラマティック・バイイング
  • インフルエンサー・チャンネルのテレビ番組化

米大手MCN、Fullscreenが語るインフルエンサー・マーケティングの最新事情 その1.も合せてご覧ください。

米大手MCN、Fullscreenが語るインフルエンサー・マーケティングの最新事情 その1.

2016.06.29

タレント、パートナーシップ、オーディエンスの開拓・育成に関して、Fullscreenが独自で行っていることは?

Fullscreenでは、あらゆる点で他社とは異なった手法をとっています。

過去2-3年でFullscreenは陳腐化したYouTubeの「MCN(マルチ・チャネル・ネットワーク)」のコンセプトを超え、”成熟した”デジタルメディア企業になろうとしています。(だから、会社の名前がFullscreenなのです。)

“成熟した”:原文では、”羽の生えそろった”=”Full fledged” という表現がされています。お洒落ですね。
私たちは人材を探し出し、リクルートし、磨き上げて(それも、YouTubeからだけではなく)インフルエンサー・ネットワークを構築するために、20人以上の従業員を専任させています。

私の部門、Fullscreen Brandworksは総合的なソーシャルメディアであり、インフルエンサー・マーケティングの原動力です。
当社が主に提供するものは企業・ブランド向けです。
企業に創造性豊かで、かつ真っ当な広告の提案を打ち出してことを役割としています。

私たちは、インフルエンサーと視聴者(オーディエンス)との感情的なつながりについて理解しています。
そして、インフルエンサーと企業・ブランドをマッチアップさせ、強力なパートナーシップを築くことに長けています。
それを可能にする、人材、データ、ツールのすべてを持ち合わせているのです。

FullScreenのインフルエンサー・ネットワークは、あらゆる統計データがとても印象的です。
それは、私たちのインフルエンサー・ネットワークをフォローする熱狂的なオーディエンスの数を反映しています。

YouTubeやソーシャルメディアは10代の若者たちのためのものであるという見方がありますが、デジタルは成長しました。
わたしたちのオーディエンスの統計データがそれを証明しています。

Fullscreenが抱えている視聴者層はテレビより若い

私たちのオーディエンスの年齢中央値は33歳です。テレビの平均視聴者年齢の55歳と比較してみてください。
オーディエンスの3分の2が18-49歳で、これはまさにテレビ視聴者層のスイートスポットです。
さらに、平均世帯年収は$79,000ドルで、テレビ平均の$52,000ドルを$17,000ドルも上回っています

彼らは新しいガジェットを早期に購入する傾向が高く、本当にアーリーアダプター(初期導入者)と言えるのです。

最初から私たちは様々なスクリーンと、様々なデバイス、そして様々なプラットフォームが出現する世界を想定していました。
しかし、デバイス・プラットフォームというより、本当の力はインフルエンサーにあるのです。

そして、Fullscreenは強いエンゲージメントを示すオーディエンスを抱えるクリエイターと同じ立ち位置にいます。

クリエイターは、情熱を持ってコンテンツを作り続けます。
そのコンテンツは、「自分たちのオーディエンス(視聴者)」と、「クリエイター自身の価値観」と、「クリエイター自身を熱狂させるもの」とが共鳴し合って生まれているのです。

なぜインフルエンサー・マーケティングは企業・ブランドのマーケティング戦略で重要なのでしょうか?

感情こそが最も、「支持する気持ち」や「充実感」を突き動かす、と言われています。
そして若者の行動は今も昔もあまり変わっていません。
10代や青年期には、自分の興味や趣味、そして自分が尊敬する人物に情熱を傾けるのです。

従来の世代は、物理的に大学またはそれ以降の成人期まで待たなければ、自分と同じ興味を持っている”オタク”な人達と出会う機会がなかったわけです。

インターネットの力によって、若者は従来よりも簡単に、こういったニッチな興味を持っている仲間を見つけることが出来るようになっています。
そして、互いに近くに住んでいる必要がありません。

この早期の・強固な、他者とのつながりは、インフルエンサーとそのファンの間で、一生涯続く関係を成立させるのです。
両者が年をとっても、生活環境が変わっても、その関係は変わりません。

インフルエンサーのチャンネルで、スポンサーがついたコンテンツを見かけると、フォロワーからは「何とかやってるな、食えてるな」と認識されるようです。
そしてスポンサーとのタイアップは、インフルエンサーがキャリアを積み重ねる上で通常通る道、として認識されているようです。

幸運なことに、優れたインフルエンサーであれば、ファンは容易に受け入れてくれます。
あたかも、インフルエンサーは自分の声がすべてのファンに届いているように感じられるほどです。

インフルエンサーマーケティングは、歴史上どんな形式をとったとしても、物語る技術(ストーリーテリングの技術)によって人間の感情を動かし、顧客の行動に影響を与えることでしょう。

Fullscreenがデジタル・エンターテインメントのリーダーとなるためのステップとは?

前述したように、750名ほどの従業員を抱える会社を「Fullscreen Media」というブランド名に最近変更しました。

そして、最もエキサイティングな部門の一つがFullscreen Entertainmentです。
この中には我が社初の課金型のVODサービスのRooster Teethや、Fullscreen Productionsがあります(アプリは4月にローンチされました)。
Fullscreen Liveはホットなインフルエンサー達が出演する250ものライブイベントを2016年中に開催します。

デジタルコンテンツとインフルエンサー・マーケティングの将来はどうなるのでしょう?

2016年度のデジタル・マーケティング・カンファレンスNewFrontsでのプレゼンテーションでのことです。
そこで、FullscreenのCEOであるGeorge Strompolosは「人々こそが新しいメディアである。」という表現を使いました。
これは私のお気に入りのFullscreen社のキャッチフレーズの一つです。

Fullscreenは早い段階で、インフルエンサーが自らの意思でメディアチャンネルになるということに賭けていました。
そして代理店やブランドにとっては、すでに新しい未来がきています。
インフルエンサー・チャンネルのプログラマティック・バイイング(programmatic buying)です。

Fullscreenをはじめとした大手のMCNのインフルエンサー・ネットワーク上では、Webやアプリの広告面を自動的に買い付けるように、インフルエンサーのチャンネルの広告在庫を自動的に買い付けることが出来るようになっていると言います。
インフルエンサー広告に関して、既に大規模なシステム化がされつつあるというわけです。

これから成功するであろうデジタルメディアとコンテンツ・マーケティング企業とは、テクノロジーを活用し、大きなスケールでインフルエンサーを真に活性化させることができる企業だと思います。

Fullscreen躍進の原動力とは?

Fullscreenが今この領域の先頭を走っている理由の一つは、インフルエンサー・マーケティング・プラットフォームのパッケージです。
テレビ業界が視聴率・視聴者数を見積もるのと同じように、我々はキャンペーンのターゲットとなる視聴者層を形成するために必要なインフルエンサーを選び出して組み合わせることができます。

プラットフォームがあることによって、ソーシャル・インフルエンサーの企業タイアップコンテンツを広めることができます。
ちょうど、メディアネットワークが様々なメディア(テレビやラジオのような)を通じて、コンテンツを広めていくのと同じです。

我々が始めた “HerScreen & HisScreen” の取り組みがメディア活性化の一つのいい例でしょう。
ゴールデンタイムの番組構成をまねて、トップ50の女性向けのチャンネルと男性向けのチャンネルを組み合わせ構成したものです。
それをNielsenの提供のオーディエンスデータをもとに提供しています。

注:
インフルエンサーのチャンネルを総合して一つのメディアとし、あたかもテレビの番組表のような形で、構成しているということです。
そのチャンネルの視聴者に関するデータはNielsenから提供を受けていて、従来のテレビの「視聴者のデモグラフィク」の様な形で開示しているのだと考えられます。
スポンサー企業はテレビ番組に広告を出すのと同じような感覚で、インフルエンサーのチャンネルに広告を出したり、タイアップ動画を作ったりできるというわけです。

トップ50のチャンネルに含まれるのは、女性陣からは、Grace Helbig, Andrea Russettや、Eva Gutowskiなど。
男性陣からはFine Brothers Entertainment, Rooster Teeth,そしてDevin Supertrampなどです。

  • Grace Helbig
  • https://www.youtube.com/user/graciehinabox
    チャンネル登録者数約300万人の女性YouTuber。(日本のトップYouTuberである”はじめしゃちょー”さんと同等の規模)

  • Fine Brothers Entertainment

  • https://www.youtube.com/user/TheFineBros
    チャンネル登録者数約1,400万人を越えるエンターテイメントチャンネル

    YouTubeチャンネルの”テレビ番組化”がもたらすもの

    この新しい試みは、「重複ないユニークな視聴者によるコンテンツの視聴(コンテンツの表示ではなく)」という点に向けて最適化されるでしょう。

    このユニークユーザへのリーチとコンテンツの視聴に関するデータは、NielsenのDAR(Digital AD Rating)とComscoreのvCE(validated Campaign Essentials)を用いて計測されています。

    原文は、「ユニークリーチとviewability」という表現が用いられている。
    重複のない”ユニーク”なユーザに対して、
    「広告が表示された = impression」ではなく、「広告がきちんと見られた=view」という数値をNielsenとComscoreのデータから計測できるという意味だと考えられる。

    ポテンシャルリーチ(潜在リーチ)の観点から見ると、HerScreenのインフルエンサー達は週に1,400万ビューを得ていて、女性に焦点を当てたテレビ番組のProject Runwayなどに匹敵します。

    さらに、HisScreenでは男性中心のテレビ番組の”Walking Dead”や”People vs. OJ Simpson”, またNBAオールスターゲームよりも多くの男性視聴者を獲得できるということになります。