動画やバナーを目にしたユーザーの態度変容は、マーケターにとって非常に気になるところです。
ただ、その可視化は従来難しいとされてきました。
(あるいは、「感情連動型広告」、といったようなものが出ると、多くのマーケターは歓迎するでしょう。)
最近よく話題に上る英国の動画アドテクノロジー企業Unruly(アンルーリー)。
Unruly(アンルーリー)は、広告動画の視聴、トラッキング、シェア獲得を推進するアドテクノロジー企業です。
2兆ビューに及ぶ界最大の動画視聴に関するデータ、また動画視聴者の感情データを保有しています。
Unrulyは2015年には、日本でも”ShareRank”というツールの提供を開始しています。
“ShareRank”を利用すると、「動画配信前に視聴者の何パーセントが動画広告をソーシャルメディアでシェアするのか予測可能」としています。
本稿では、同社の発表による「動画広告を見たユーザーの感情をトラッキングするツール」のご紹介です。
Unruly Pulse というツールの使用により、動画広告による感情の変化をトラッキングできると言います。
数千本の動画と50万人以上の消費者の反応から得たサンプルデータに基づくツールとのことです。
動画広告によるユーザーの感情の変化を可視化
Unruly、動画広告によるユーザーの感情の変化をトラッキング可能なダッシュボードを発表。
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Unrulyは動画へのエンゲージメントにおいて、文化的、季節的、人口統計的要因に対する比較に基づいたインサイト(気づき、発見)を提供します。
こういったインサイトを用いて、広告主は複数のブランドメトリクス(ブランディング指標、認知指標)を比較することもできます。 - ある調査データから明らかになったのは、世界的に見ると、動画広告の視聴時に人々が最も抱きやすい感情は「幸せ」で、オンライン動画広告を視聴した後にブランドを好きになったり、商品を購入したりする確率は、米国の消費者の方がヨーロッパの消費者よりも高いということです。
どの感情がエンゲージメントを促進するのかが、明らかに
史上最もシェアされた広告、Google Android 2015 コマーシャル「Friends Furever」を視聴した世界中の消費者は、平均的な広告を視聴した時と比べ、約4倍の幸せを感じたことをご存知ですか?
または、米国の消費者はヨーロッパの消費者よりもはるかに、オンライン動画広告を視聴した後にブランドを好きになったり、商品を購入したりしやすいということはご存知でしょうか?
動画広告の視聴中に世界中の人々が最も抱きやすい感情は「幸せ」で、一番抱きにくいものの1つは「愉快」だそうですが、それもご存知でしたか?
Unruly Pulseとは、動画アドテクノロジー企業Unrulyがベータ版で提供開始した新しいダッシュボードです。
過去10年にわたる研究のによって、ブランド好感度、購入意向、アーンドメディア(earned medium = 広告)などを含む、様々なブランドおよびビジネスメトリクス(指標)で、広告のエモーショナル効果(感情に訴えかける効果)が度々証明されてきました。
Unruly Pulseは55万人以上の消費者の反応を基に、多様な人口統計、イベント、地域、製品バーティカルを横断し、どういった感情がエンゲージメントを促進するのかマーケターに示します。
また、広告主は個々の広告を分析し、それによって他の広告も含めた全体のパフォーマンスを比較することも可能です。
消費者の感情の変化に着目したマーケティングが可能に
Unruly共同CEOのSarah Wood氏は以下のようにコメントしています。
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消費者の感情はブランドへの愛着を高めるだけでなく、商品の売上も伸ばします。
効果的な動画広告キャンペーンを展開するにあたって、賢いマーケターなら、エモーショナルインテリジェンスが果たす役割の重要性を認識しているはずです。
Unruly Pulseを利用するマーケターは消費者の感情を正確に把握し、時流に合ったイベントや季節的トレンドに沿って、動画広告キャンペーンをより効果的に企画することができます。 -
Unruly Pulseのエモーショナルインテリジェンスを活用することで、マーケターは何がオーディエンス(視聴者)に効いて、なぜそれが効くのか理解することができます。
競合に対してより有利な立場につけるでしょう。Unruly Pulseによって、特定のモーメント(瞬間)に特定のオーディエンス(視聴者)に響く動画コンテンツ戦略を策定できるようになります。
地域・性別・年齢、などによって抱きやすい感情が異なる
Unruly Pulseが他に取得できる情報とその実例
- 「愉快」は世界中の人々が最も抱きにくい感情の1つなので、広告主が消費者を笑わせようとしても、失敗する場合が多いです。
実際に、回答者の4%しか「愉快」と感じていません。
同じ期間に動画コンテンツを視聴していた人々が最も抱きやすかった感情は「幸せ」です。
「幸せ」という感情は国や文化といった境界線を越えやすいため、オリンピックやヨーロッパサッカーのUEFA EUROといったスポーツイベントに最適です。 -
米国、東南アジア、ヨーロッパの消費者と比べると、リオオリンピックを目前に控えたブラジル人は、オンライン広告を視聴した後に商品を購入したり、ブランドを好きになったりしやすいという調査結果が出ています。
例えば、2/3のブラジル人は広告の視聴後にブランドに対してより好感を抱いています。
一方で、ASEAN諸国では58%、米国では41%、英国では28%、ドイツでは26%にとどまっています。
また、ブラジルでは購入意向も高く、広告の視聴後に商品を購入すると答えた人は57%にも上ります。
その一方で、ASEAN諸国は52%、米国は40%、英国とドイツは31%でした。 - スーパーボウルでのMountain Dewの広告「Puppymonkeybaby」を視聴したミレニアル世代の約1/5において、同ブランドに対する印象は視聴後に下がりました。
- 11月と12月のクリスマスシーズンに広告が展開されると、「感動」や「高揚感」が世界中で一気に高まります。
しかし、今年のスーパーボウル開催中は「愉快」が急降下しました。 - 私たちの心理的反応は年齢や性別によって変わります。
25~34歳の米国人男性は動画視聴中に「幸せ」、「感動」、「誇り」を感じやすいですが、団塊世代の男性が感じやすいのは「混乱」と「嫌悪」です。
一方、25~34歳の米国人女性は「幸せ」と「感動」を感じやすく、団塊世代の女性が感じやすいのは「温もり」、「驚き」、「混乱」という結果が出ています。 - 今までで最もシェアされた広告(世界中で700万回)、Google Android 2015 コマーシャル「Friends Furever」を視聴した世界中の消費者は、平均的な広告を視聴した時と比べ、約4倍の「幸せ」を感じました。
また、このコマーシャルは平均的なテクノロジー企業の広告の5倍以上もの笑いも生み出しました。 - 動画のシェアを促す主な要因は世界中で大きく異なります。
例えば、米国とヨーロッパでは、「感情」が動画をシェアする主な要因となります。
一方の東南アジア、ブラジル、トルコでは、消費者がコンテンツをシェアするのはシェアによって得られるインセンティブのためです。
広告主はこのデータをどう活用するか?
- 購入意向とブランドメトリクス(指標)を促進するために、データドリブンな意思決定を行う。
- 時期による感情の変動をトラッキングする。
- 視聴者がコンテンツをシェアしたくなる要因を理解する。
- トップレベルのコンテンツの感情プロフィール(どのような感情を持たれているか)を特定する。
- 分野、地理、人口統計ごとに、トレンドを詳細に分析する。
- ターゲットセグメントに対する効果を最大化するため、最適な配分を行う。
動画広告キャンペーンの効果を最大限に高めたい企業が活用
Centre for Digital Video Intelligenceで所長を務めるKaren Nelson-Field博士は、Unruly Pulseについて次のように語っています。
「Unruly Pulseは深い部分までインサイトを掘り下げ、且つ誰でも簡単に、楽しく使用できますので、動画広告キャンペーンの効果を最大限高めたいブランドやエージェンシーにとって、真にUnruly(型破りな)なダッシュボードと言えるでしょう」。
ヨーロッパ、中東、アフリカ、アジア太平洋、北米、中南米にまたがり、数千本の動画と50万人以上の消費者の反応から得たデータを可視化します。
料金とサービス提供地域: この新しいダッシュボードは、英国、米国、フランス、ドイツ、北欧、東南アジアのFuture Video Labで、ベータ版が現在利用可能です。
弊社の7 Steps to Sporting S.U.C.C.E.S.S this Summerはこちらからダウンロードできます。なお、ダッシュボードの詳細についてはこちらをご覧ください。