インフルエンサーを起用したブランディング手法。メルセデス・ベンツの事例。

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今、日本で一番売れている輸入車ブランドといえば何でしょうか?

2015年の年間販売台数トップはメルセデス・ベンツでした。16年ぶりのトップ返り咲きで、それまではフォルクスワーゲンが15年連続首位だったとのことです。
メルセデス・ベンツは新型Cクラスが好調で、過去最高とも言われる輸入車ブームの牽引役となっています

本稿では、そんなメルセデス・ベンツ(メルセデス・ベンツ日本株式会社)が行っているインフルエンサーマーケティングについて考えてみます。

1) 自動車メーカーのブランディング手法

「自動車メーカーのマーケティング」「自動車メーカーのブランディング」と言えば、あらゆるマーケティングシーンの中でも最も注目度が高いところです。
昔から、オンライン・オフラインともにあらゆる叡智が広告関係者によって注がれてきた領域です。

2) メルセデス・ベンツのブランディング手法?

歴史深く長大な自動車メーカーのマーケティングのなかで、インフルエンサー領域はどのような戦術がとられているでしょうか。

メルセデス・ベンツは数多くある輸入車メーカーのなかでも、最も日本市場にカスタマイズをしたユーザーコミュニケーションを行っているメーカーです。
例えば、新型Aクラスの広告では、攻殻機動隊で知られるプロダクションIGがアニメーションを作成していたり、人気アーティストのPerfumeが起用されたりしています。

3) インフルエンサーを起用したブランディング手法

 メルセデス・ベンツの2つのツールに着目しました。

One hour Sense

フジテレビ系列で日曜22:00前に放映されている5分弱の番組で、メルセデス・ベンツ提供の番組です。各界の著名人が「one hour」の空き時間があったらなにをするか、というテーマで番組が進行されます。

芸術家、スポーツ選手、取り上げられる人物は毎回様々なのですが、皆一様に1時間を活用するために、メルセデス・ベンツを駆り、海に行ったり、郊外の美術館に行ったり、山寺に座禅に行ったりして、仕事への英気を養う、というテーマです。

「自動車を買いましょう」という直接のメッセージはありませんが、各界の第一線で活躍し影響力を持つ人々のライフスタイルや考え方を描き、そのライフスタイルを支える・実現する一つのツールとしてメルセデス・ベンツがさりげなく登場します。

車種の紹介はほぼなく、自動車そのものには一切触れないというこの徹底ぶりが本当に潔いです。
スポンサード番組がチープに映らないというのは、実に興味深いことだと思います。

メルセデス・ベンツマガジン

メルセデスオーナー向けに送られる「メルセデス・ベンツマガジン」という会員誌があるそうです。ひょんなことから数冊拝見する機会がありました。

俳優哀川翔さん、黒沢年雄さん、サッカー遠藤保仁選手、元プロ野球小宮山悟さん・・・
実際のメルセデス・ベンツのオーナーにインタビューしている記事が非常に興味深く感じました。

それぞれのオーナーは皆、一様に自分の人生を語り、その中でのメルセデスとの付き合いを語り、メルセデス・ベンツへの愛着や信頼を語ります。語り手は実際の車オーナーであり、言葉には真実味・説得力があります。

各界の第一線で活躍する人物たちであり、インフルエンサーとしての役割を十分に果たすように思えます。

既存オーナー向けのため、すぐに直接新車販売に結びつくわけではないのでしょう。
しかし、買い替えや買い足しを考えているオーナーにとっては「やはりメルセデスだ」、「次はこの車種が欲しい」、と自らの選択の正しさを肯定させ、ブランドロイヤリティーを向上させる効果があるように感じます。

4.まとめ

自動車のように買い替えサイクルが長く、かつ高額な商品は、顧客との長い信頼関係を築き、ブランドへの愛着をもって貰う必要があると考えられます。

既存顧客のリテンションとクロスセルは特に自動車メーカーにとっては重要な要素なのではないでしょうか。

メルセデス・ベンツのブランディング手法は、メルセデス・ベンツというブランドを愛しているインフルエンサーを巧みに活用し、消費者の日常を邪魔しない形でメッセージを送っている好例と言えるのではないでしょうか。